2011/02/16

カーサ イタリア

イタリアスキー連盟は冬季オリンピックや世界選手権になると開催地に、選手、役員、それに招待客のみに入場を許されるイタリアンレストランを開きます。それがカーサイタリア。いつもイタリアの料理学校のスタッフ、生徒、食器、テーブルクロスまで現地に運びこんで凝った上質のイタリアンを提供するのです。およばれしてゆくとたいがい上席にはスキー連盟のお偉いさんがマフィアのドンよろしくどっかと座って葉巻の煙をくゆらせていたものでした。

初めて招待されたのが88カルガリー冬季オリンピックのとき。ダウンタウンの一画にこんなに広いところがあったのか、と思うくらいのみごとなイタリア空間だった。その時のメニューなんかもうすっかり忘れてしまったのだけれど、ただひとつ覚えているのは豚肉の煮込み料理。それはそれは美味な煮込みで一気に食したのですが、食後なにやら異な口ざわり。指でつまみ出してみるとちょっと固めの豚の毛が2、3本。きっとあまりの招待客の多さにシェフの目に届かなかったのでしょう。でもソースまで一滴残さずたいらげた記憶があります。

そして感心したのが、まだ少年や少女の面影を残す生徒たちが一所懸命テーブルサービスをしていたのですが、それこそ絶妙なタイミングで食器の上げ下げやワインをつぎたしてくれたこと。この子たちはきっと立派なプロになるんだろうなあ、とそのとき思ったことでした。

そうそう93年の盛岡・雫石世界選手権の時なんかはさすがに料理学校まるごと極東の地へ、というわけにもゆかなくて地元のきれいどころが総出でテーブルサービスをしてくれた。なぜかその時おねえさまにお化けの話なんぞして叱られたこともありました。

そのカーサイタリアも年々規模が縮小されてきて、ここガルミッシュではどうやら地元のイタリアンレストランにまるなげした様子です。この店は北イタリア、ヴァルテリーナ地方のメニューが売り。さすがにうまかった…と言いたいところだが、天敵ポルチーニ入りのリゾットが出てきたから星一つ半。

なんにせよまたむかしのようにドン・コルレオーネのファミリーにでもなった気分で、うまいワインを味わいたいものです。