ヤマハスキーを頭上にかざした絵美の目にはうっすらと涙がうかんでいたものでした。が、湯浅はカラッとしたものです。きっと本人にとってこの成績が不満だったのかもしれません。絶対にメダルをとりたいんだ、という気迫がファインダーごしに伝わってきましたからね。湯浅についてはバンクーバー冬季五輪への出場をめぐって巷間いろいろといわれましたが、それをここでむし返すのはやめましょう。とにかく湯浅には「おめでとう!」といいたい。
日本からは佐々木明と大越龍之介選手も出場したのですが、とりわけ無念なのは明。万全の体調で大会に挑んでもらいたかった、というのが率直な思いだった。コースアウトしたあと、負傷している右手とポールを固定しているテーピングをもどかしそうにみつめる明の思いとて同じでしょう。臥薪嘗胆。再起を切に期待します。
もうひとり。期待を一身に背負って夢敗れたフェリクス・ノイロイター、いったいどうしたんでしょうね。プレッシャーに負けたのかな。それとも、ここ数シーズン、スピード系へも積極的に挑戦しているからその発展途上なのかな。回答はシーズン後半になってから出てくるでしょう。
名門オーストリアパワーチームもマルセル・ヒルシャー、ベンジャミン・ライヒ、二枚看板を欠き、回転ではマリオ・マットが4位に入るのがやっと。この大会、男子は銀メダル1、銅メダル1と、らしからぬ結果に終わってしまいました。ちょっと元気がなかった。
さて、どちらかというといつも無表情なジャパンのヘッドコーチ、クリスチァン・ライトナーですが、このレース、こころなしか余裕が感じられます。
カナダのジュリアン・コシニュウはオーストリア勢の撃沈に加え、湯浅のタイムが一歩及ばず5位確定。テンガロンハットがよく似合うカナダのコーチ連中、それみたことかと満面の笑顔ですね。
男子回転、靭帯断裂のためにバンクーバーに出場できなかったジャン−バプティスト・グランジェの復活の総仕上げで幕を閉じました。
GAP 2011はこの日のレースで全て終了。2年後にはオーストリアのシュラートミンクで世界選手権が開催されます。