2012/01/24

古豪vs新興 − ハーネンカム・スラローム −(訂正

国内で所用があってやむを得ずハーネンカム・スラロームを最後にサーキット撤収です。
チューリヒでは某スキー誌編集長の旧来の知人宅にお願いして一泊。スイス人のご主人、次男、それにシベリアンとベンガル、2匹の猫が暮らすチューリヒ郊外にある広々とした邸宅でひさしぶりにのんびりおちつくことができました。
翌月曜日早朝にチューリヒを発ってフランクフルト経由、ANAの最新鋭機 Boing787 で羽田着。国際線で羽田帰着は初めてです。
787は最新鋭機だけあって乗り心地抜群。エコノミーでも座席は足を組めるくらいにゆとりがあって、PC用電源も各座席についている。なんとシャワートイレ装備です。
長旅でいいかげんヨレていたからアップグレードしようと思ったら、ANAの係員が「今日はすいていて、お客さまの横一列があいていますよ。ご自由にどうぞ」と。あ、それならとエコノミーのままチェックインしたら、後方からドヤドヤと移動してきたおばさんグループに乗っ取られてしまった。ま、座席がゆったりしてるからいいか。

…と極楽とんぼで空の上をとんでいたら、どうやら地上では怨念の紛争勃発のようです。
事の発端はイヴィーツァ・コステリッチの母国、クロアチアのザグレブで開催されたスラローム。オーストリアのマルセル・ヒルシャーが優勝し、ドイツのクリスチァン(お詫び:うっかり父親の名前を書いてしまいました)フェリクス・ノイロイター2位、コステリッチは3位に終わってしまったのだが、ここにいたってクロアチアスキー連盟が、ヒルシャーとノイロイターは片半だったと、ビデオや写真を証拠として問題を提起してきたのです。とりわけ矛先はザグレブ後に行われたアーデルボーデン回転でも優勝したヒルシャーに向けられていて、アーデルボーデンでも片半の事実はあった、と。さらにはこのハーネンカムの1本目も怪しい…と言い出したものだから、FISのチーフディレクター、ギュンター・フヤラも静観するわけには行かず、ハーネンカム1本目の問題旗門の写真を急遽プリントアウト、2本目のインスペクション時にコース上の各国チームのコーチに対し汗だくになって事情説明です。

昨シーズン終盤を棒に振ったケガから回復し、今季絶好調のマルセル・ヒルシャーが滑りのスタイルを変えたことは間違いありません。より先鋭的、直線的なコース取りをするようになった。ハーネンカムまで回転7戦3勝。だが、ラウバーホルンでは明確な片半、ハーネンカムでも2本目にまたもや片半で失格となった。

フヤラはさらにはシュラートミンクでもビデオを駆使して記者会見を開いて釈明に大わらわ。
古豪オーストリア対新興クロアチア。この騒動、まだまだ尾を引きそうな予感がします。

ハーネンカムレースのファイナル、回転の優勝をもぎ取ったのはイタリアのクリスチァン・デヴィレ。苦節10シーズン目にしてWC初制覇。2位にマリオ・マット。コステリッチは3位。
2日間の滑降と回転を併せたコンバインドは滑降50位だったコステリッチが回転で逆転優勝。時の人、スイスのベアト・フォイツが回転でもがんばって2位に飛び込み、シルヴァン・ツルブリッゲン3位。スヴィンダル10位、ミラー回転1本目コースアウト。

2012/01/21

もったいない… − ハーネンカム滑降 −

土曜日の今日はハーネンカムレースのメインイベント、ダウンヒルです。
朝焼けが美しい。

レース開始前には湿った雪が本格的に降り始めたのだが、定刻通りにスタートです。

伝統のハーネンカム滑降、勝ったのは老練ディディエ・キューシュ。
これでシュトライフを制すること5回目。スーパーGも加えれば6回目です。
19日に今季限りの引退を正式に発表したばかり。
まだ十分に勝つパワーがあるというのに、余力を残しての引退ですか…。
なにか日本人の琴線に触れる決断ではあるけれど
それにしても「もったいない…」のひと言ですね。
スイスチームの頼もしいニューカマー、ベアト・フォイツ。シュトライフではフルアタックはしない、と語っていましたが、6位入賞。

スイスから来た村人たちの楽隊もゴールエリアで大騒ぎです。

2012/01/20

アールベルクのライオン

ワールドカップ創生期、フランスのジャン・クロード・キリーと覇を競った名選手、アールベルクのライオンことカール・シュランツさんも新聞社のコラムニストとしてプレスセンターに。
フォトグラファーの薬師洋行さんと。

雪降り…

昨夜来の雨が湿った雪に変わって降り止まず、やがて大きなぼたん雪。
ハーネンカムレース緒戦スーパーGは中止となり、月曜日に順延は無し。


2012/01/19

メディアディナー

今夜はキッツビューエルスキークラブ主催のメディアディナーにご招待。
スライスしたパンケーキ入りコンソメ、詰め物をした子牛の胸肉のローストに温野菜を添えて、チョコレートケーキにホィップクリーム、エスプレッソ、ビール、ワイン………シュナップス

the time has come.

photo by Hiro Yakushi

「とうとうその時がきたようです」
スイスのダウンヒラー、ディディエ・キューシュが、ワールドカップ初勝利を果たした思い出の地キッツビューエルで、今シーズン限りの引退を発表した。

ハーネンカム / Kitzbuhel DH tr3

きのうの空とはがらりと様相を変えて重い雲がたれこめ、雪が舞ってきました。
キッツビューエルの朝。
早々に本日のトレーニングランはキャンセル。
あたたかいから雨になりそうな予感です。

キッツビューエルの宿はペンション・ヒンターゼア。
そう、スクォーヴァレー冬季五輪回転の金メダリスト、エルンスト・ヒンターゼアさんのところ。
いまは息子のグイドとカースティン夫妻が後を継いでいて、ご隠居のエルンストはときおり玄関前の雪かきをしています。

愛犬ファニー、黙々と朝食の真っ最中です。

2012/01/18

ハーネンカム / Kitzbuhel DH tr2



天候が期待できないキッツビューエル、朝から不気味な雲が流れます。
to be or not to be.
空ぬきに行くべきか、林ぬきに行くべきか思案のしどころです。







が、インスペクションが始まる頃には雲も流れ去って青い空が広がりました。

インスペクション中のキューシュ。
今シーズンのメットのテーマは例のパフォーマンスですね。
ゴールしたあとスキーをクルッと回して手にするというヤツ。
なにげにきょうのトレーニング、一番だった。


フォイツは少し慎重にコースメイキングをしたのか、ギリギリ29位。スヴィンダル、19番スタート19位。ミラー、21番スタート21位だった。

2012/01/15

シルヴァーホルン

アイガー、メンヒ、ユングフラウ。名だたる高峰にかくれてはいるけれどもシルヴァーホルンの端正な直線と曲線の造形は人の心を惹きつけてやみません。

ラウバーホルンレース / Slalom(1/18追記



終わってみればコステリッチの天下。

2本目にスルスルッと抜けだして、2位アンドレ・ミイラーに0秒85とけっこうな大差で逆転優勝。妹のヤニーツァはいつものとおりフォトエリアの中央に陣取ってiPhoneでイヴィーツァの晴れ姿をおさめているのですが、これでいったい何枚目になるんだろ。
3位にはドイツ2年目の新人フリッツ・ドッファーが入った。表彰台は12月のビーバークリーク大回転の3位についで2度目です。

日曜日、ラウバーホルン最終日はスラローム。
スイスチームに際立ったスラロームスペシャリストがいないせいもあってちょいとさみしい観客の入りです。8千人。ラウバーホルン3レーストータルの観客数66、000人はそれでもレコード更新だった。

日本からは佐々木明と湯浅直樹、二人がエントリーしたものの残念ながら前半でコースアウト。

明日朝キッツビューエルへ向かいます。
天候が下降気味ゆえ一日繰り上げて、火曜日には滑降トレーニングが始まるそうです。

ー1/18追記ー
転倒した湯浅、どうやら捻挫ということらしい。とりあえずはキッツビューエル入山、もう一度診察を受けるということだが、ここは長考ですね。

2012/01/14

ラウバーホルンレース / Downhill



土曜日はいよいよラウバーホルンの華ダウンヒルです。
早朝から麓のラウターブルンネン、ウェンゲンの駅は観戦に押しよせた観衆が波うち、スイス各地の村からやってきた音楽隊が騒々しく音楽をかき鳴らします。
本日の観戦者38、000人はラウバーホルンの新記録。






レースは例によってパトロイユ・スイスのデモンストレーションから始まりました。
音もなく空を駆けめぐり、やがて爆音の炸裂です。
しかし…音速でこうやって超至近距離をすれ違うの、すごくないですか。

きょうのポジションはフントショフと名付けられた41度の絶壁の大ジャンプ。
自分はここ、アイゼンを装着してスキーをかついでポジションまで降りました。(恥
…と、レーサーたちに混じってときおりUFOみたいなのがやってきます。
なにかと思えば無線で操縦してレーサーを追っているTVカメラ。
いきなり視野に飛び込んでくるから無意識にシャッターを押してしまう。
それも一度ならず二度三度。

伝統のラウバーホルン滑降を制したのは昨日のスーパーコンバインドで2位に入ったベアト・フォイツ。昨シーズンのインナーホファーを彷彿とさせる暴れん坊ぶりです。そのインナーホファーは3位に入った。2位はオーストリア、ハンネス・ライヒェルト。
ヤンカ4位、ミラー5位、スヴィンダルとキューシュはちょっと元気がなく、それぞれ12位、15位と撃沈してしまった。

明日はラウバーホルン回転。日本チームも出場の予定。

2012/01/13

ラウバーホルンレース / Super-Combined

金曜日のきょうはラウバーホルン・スーパーコンバインド。
滑降種目で23位と遅れをとったイヴィーツァ・コステリッチが回転種目で逆転、クラシックレースまず1勝目。してやったりと表彰台から妹のヤニーツァに会心のウィンクです。一方滑降でラップをとったスイス7年目の中堅ベアト・フォイツは惜しくも2位。あいかわらず調子がいいんだか悪いんだかわからないボーディ・ミラーがスルリと3位に滑り込んだ。



観衆はおよそ2万人。晴れた穏やかな一日です。観客はレースのあいまには雪上でチーズフォンデュ。昼食抜きの雪上フォトグラファーには、その香りはかなりつらい。
500ミリをセットしたところで恒例6機のパトロイユ・スイスが爆音を奏でデモンストレーションです。

2012/01/12

ラウバーホルンレース / wengen

快晴のウェンゲン、きょうは2本目のトレーニングラン。
ウェンゲンの街には陽光がさんさんとそそいでいるのに、フォトポジションに着いてみればまだ日陰。そう、太陽はユングフラウの影に隠れ、姿を現していません。気温は零下、冷たい風がふきすさぶ中で、あと2時間、じっとガマンのウェイティングです。レースが始まる昼頃にはまちがいなく太陽が照りつけてくれるはずです。

トレーニングランのトップに浮上したのはオーストリアのハンネス・ライヒェルト。以下スヴィンダル、ヤンカと続きます。クラシックレースとなると俄然強さを発揮するキューシュ16位、ボーディ・ミラー32位。挨拶代わりの小手調べといったところでしょうか。
きょうの滑降トレーニングはスーパーコンバインドのトレーニングも兼ねていたからスラロームスペシャリスト、J-B.グランジェも72番目にスタート、ライヒに次ぐ60位に入りました。大回転種目のキング、リガティはなぜかスタートしなかった。目下ワールドカップのトップをひた走るヒルシャーは昨シーズンのけがから回復したばかり、大事をとってスーパーコンバインドにはエントリーしていない。

きょうのフォトポジション。
新雪のシルヴァーホルンがひときわ高貴に輝いています。

2012/01/11

事始め - chamonix -

いよいよアルペンスキーワールドカップ、伝統のクラシックシリーズに突入です。
まずは恒例シャモニーの神田邸にご挨拶。
みっちゃんとしょうたは仕事でオーストリアへ。
やすさんご謹製の鴨肉の水炊きで新年の乾杯です。

神田邸からのドリュとヴェルト針峰。
ドリュの岩盤が白く伸びているのは、近年になって大落石を繰り返したせい。
山頂直下にあるテラスと呼ばれる場所にまたもや亀裂が走っているのがわかります。
ドリュはまだまだ先鋭的な針峰に変貌を遂げてゆくのかもしれません。

今シーズンのシャモニーは極めて雪が多い。慶賀のいたりです。
ブレバン、フレジェールなど、どのスキーエリアもたくさんのスキーヤーで賑わっている様子。
今朝はウェンゲンに向かう前にシャモニーにあるカルフールでしこたま食材の買い出しです。
ワイン(必須)、ビール(必須)、肉、野菜などなど。
ついでにシャモニーのメインストリート散策。
シャモニー在住、旧知の中野さんと落ちあってしばし世間話がはずみます。



ストリートの中心にあるバルマ広場。
モンブラン初登頂を果たしたシャモニーの猟師ジャック・バルマとそれを支援したスイスの学者H.B.ソシュールの青銅の銅像が目をひきます。
バルマが指さすのはモンブラン山頂に違いありません。












明日からはいよいよラウバーホルンレース。

2012/01/01

一富士

あけましておめでとうございます

穏やかな朝を迎え初詣。

銭洗弁財天では弁天様が銭を洗う初詣客に悠久の調べを奏で
まだ紅葉が所々に残る佐助稲荷は黄金色の銀杏の葉に埋もれています。
山頂の葛原岡神社では狛犬の代わりに黒猫が鎮守様を守護していて
日野俊基卿の墓所のかたわらからは絶景が広がります。

初富士です。