2011/02/28

春の雪


大会期間中、一片の雪も、ひと粒の雨もふらなかったガルミッシュ・パルテンキルヒェン。不思議なことに閉会式が終わるのを待ちきれないかのように雪が舞い降りてきました。翌朝にはご覧のとおりの銀世界。バイエルンのスキーリゾートはまだまだたくさんのスキーヤーたちで賑わうことでしょう。

写真正面にみえるDB(ドイツ鉄道)ガルミッシュ・パルテンキルヒェン駅からミュンヘンへ、そのまま空港に向かって一路日本をめざします。

レジェンズ

レジェンズシリーズもこれが最後。
ゴールエリアで中村実彦さんとなにやら談笑する往年の名ダウンヒラー、ベルンハルト・ルッシ。72札幌冬季五輪滑降の金メダリストです。長野冬季五輪の滑降コースを設計したことでも知られます。
右上の赤いウェアはドイツの生んだスピードレーサー、マルクス・ヴァスマイアー。85ボルミオ世界選手権大回転で金メダル、94リレハンメル冬季五輪スーパーGと大回転で二つの金メダルを獲得したゆえ大回転スペシャリストと勘違いしそうですが、実はサーキットでは一度も大回転で優勝していないんですね。(あ、隣の女性は関係ありません)
レジェンズ、最後の締めはパルテンキルヒェンの生んだ名スラローマー、クリスチァン・ノイロイターです。現役時代の写真を見ると実に貴公子然としたスラローマーだったのですが、歳月がここまで風貌を変えるのかと。ワールドカップサーキットでは回転に6勝しています。愛妻ロジ・ミッターマイヤーとの間に生まれたサラブレッドが今をときめくフェリクス・ノイロイターですね。

臥薪嘗胆

湯浅選手やってくれましたね。6位入賞。世界選手権の入賞記録を見ると1958年バドガシュタインで猪谷千春が銅メダルを獲得したとありますが、自分の取材した範囲では89ヴェイル世界選手権滑降で川端絵美が5位に飛びこんで以来、22年ぶりの快挙です。
ヤマハスキーを頭上にかざした絵美の目にはうっすらと涙がうかんでいたものでした。が、湯浅はカラッとしたものです。きっと本人にとってこの成績が不満だったのかもしれません。絶対にメダルをとりたいんだ、という気迫がファインダーごしに伝わってきましたからね。湯浅についてはバンクーバー冬季五輪への出場をめぐって巷間いろいろといわれましたが、それをここでむし返すのはやめましょう。とにかく湯浅には「おめでとう!」といいたい。

日本からは佐々木明と大越龍之介選手も出場したのですが、とりわけ無念なのは明。万全の体調で大会に挑んでもらいたかった、というのが率直な思いだった。コースアウトしたあと、負傷している右手とポールを固定しているテーピングをもどかしそうにみつめる明の思いとて同じでしょう。臥薪嘗胆。再起を切に期待します。
もうひとり。期待を一身に背負って夢敗れたフェリクス・ノイロイター、いったいどうしたんでしょうね。プレッシャーに負けたのかな。それとも、ここ数シーズン、スピード系へも積極的に挑戦しているからその発展途上なのかな。回答はシーズン後半になってから出てくるでしょう。

名門オーストリアパワーチームもマルセル・ヒルシャー、ベンジャミン・ライヒ、二枚看板を欠き、回転ではマリオ・マットが4位に入るのがやっと。この大会、男子は銀メダル1、銅メダル1と、らしからぬ結果に終わってしまいました。ちょっと元気がなかった。

さて、どちらかというといつも無表情なジャパンのヘッドコーチ、クリスチァン・ライトナーですが、このレース、こころなしか余裕が感じられます。
カナダのジュリアン・コシニュウはオーストリア勢の撃沈に加え、湯浅のタイムが一歩及ばず5位確定。テンガロンハットがよく似合うカナダのコーチ連中、それみたことかと満面の笑顔ですね。

男子回転、靭帯断裂のためにバンクーバーに出場できなかったジャン−バプティスト・グランジェの復活の総仕上げで幕を閉じました。
GAP 2011はこの日のレースで全て終了。2年後にはオーストリアのシュラートミンクで世界選手権が開催されます。

2011/02/25

さながら霞める

春のやわらかい空気がパルテンキルヒェンの街を支配します。
いよいよ女子回転。会場はオリンピアシースタディオンのとなりにセットアップされたグディベルクコース。ほぼ一枚バーンですから観客はスタート直後からゴールまで全てみとおすことができます。でもフォトグラファーにとってはとてもつらい環境でもあります。向かって右サイドにはリフトがはしり、左サイドはちょっとした森なのですが照明、TVスタンドが林立しバックに写りこんでしまう。ですから撮影ポイントはゴール前のデコ一箇所だけです。当然みんなそこに集まります。あとは押し合いへし合い…。

ポジションを確保したあと、その人ごみを抜けてレース前にリフトの近くから待ち人をシューティング。
そうマリアとスザンネのリイシュ姉妹です。きっと一緒にリフトで上がると思った。今大会マリアは風邪が治りきらず顔色も優れませんが銅メダル2個は立派ですね。スザンネは3度目の世界選手権ですが、過去2度ともゴールを果たしていません。今度こそ、という地元の期待がプレッシャーになったのか、またもやゴールできなかった。マリアも3つ目のメダル獲得はなりませんでした。
女子最後のレースゆえマリアネタでもう一つ。"Milka Ski Girl" 。あえてノーコメント。

女子レース有終の美を飾ったのはオーストリアパワーチーム。マリイズ・シルトがゴールド、カトリン・ツェッテルがシルバー。ブロンズメダルはスウェーデンのマリア・ピエティレ・ホルムナーへ。シルトにとってビッグレース8個目のメダルが、ようやく金色に輝いたのでした。

2011/02/24

さようならカンダハー

18日は男子大回転。あいかわらず白い魔物がカンダハーコースを覆っています。レースは果たして大丈夫だろうか、そればかりが気にかかります。

が、案に相違してカンダハーの視界は前日よりは良好。定刻通りにインスペクションも始まり、定刻通りにフォトグラファーもポジションフィックス。そして予想通りにそのポジションもFISディレクターによって退去させられ、散り散りばらばらになって黙々と他のポジションへ。

さて、インスペクション。2日目の男子スーパーGで3位に入り、組織委員会にコースセットアップについてやんわりと物申して以来、ダウンヒル、スーパーコンバインドをスキップ、1週間にわたって姿を消していたイヴィーツァとファミリー、ようやくピステに姿を現しました。他のスキー場で技術系トレーニングに励んでいたものと思われます。今季の総合優勝を虎視眈々と狙うイヴィーツァにしてみれば万が一の怪我のリスクを回避するのは当然の決断でしょう。リンゼイ・ヴォンもまたしかり。得意種目の高速系が終わるやいなや大回転をスキップ「総合優勝を狙うために少しやすんで集中力を高めるわ」とさっさとガルミッシュをあとにしてしまいました。

女子スーパーコンバインドの日には滑降レース直前にヘリでコースから病院へ直行したスイスチームのコーチもいたし、前日もスリップ滑落して肋骨を折った者もいた。抗議に近い選手の声におされた組織委員会が幾分コースを改善したとはいえ、アイゼンを装着して歩くのさえ恐怖を感じる碧氷のカンダハーでしたからねー。

ともかくイヴィーツァが、ファミリーが、戻ってきてくれてよかったよかったと。














どんよりとした曇り空の下でレースは淡々と続きます。

1本目はスヴィンダルを筆頭に、コステリッチ、リゲティ、キューシュ、ヤンカら、実力者が0.5秒以内にひしめき合うという大接戦。
2本目になってくっきりと明と暗に分かれます。
1本目4位のリゲティ、満を持してゴールするやマットに身を投げ出して喜びを爆発させます。イヴィーツァはそそくさとゴールをあとにし、最後にゴールしたスヴィンダルはタイムを確認したあとがっくりと頭をうなだれます。

リゲティにとってビッグレースのゴールドメダルはトリノ冬季五輪のスーパーコンバインド以来2個目。2位には今季好調のスペシャリスト、シプリアン・リシャールが入り、3位には世界選手権直前のヒンターシュトーダー大回転でワールドカップ初優勝をかっさらったフィリップ・シェルクホファーが飛び込んだ。

やれやれ、カンダハーコースともこれでお別れです。

2011/02/23

greeeaaat!

昨日佐助庵帰着。
大会も終盤に近づき写真整理と移動に追われてしばらくの休止ご容赦。今日からおっつけ GAP 2011 あれこれどたばたレポート再開。

17日、女子大回転。いよいよ技術系レースが始まりました。
さあッ、と起きがけにアパートの窓を開けるとあたり一面真っ白です。そう、霧がわがものがおに街をおおっていたのでした。「これはちょっと…」と意気消沈しながらもカンダハーのコースへ向かいます。…と、ゴンドラで少し上がったらいきなり絶景が目の前に広がりました。雲海です。少し気を持ち直してスタート付近まで降りると、やはりあたり一面ガスがおおって10メートル先も視認できません。もうあきらめの境地です。10時開始が10時半へ、11時へとのびてようやくレースがスタートしたのが12時。まだガスがときおりコースをはしっています。

リメンバー、バンクーバー
やはり女子大回転のレース、ガスにやられて2本目を翌日に順延したときのことが脳裏を横切りました。この大会、もう予備日もありません。が、今日はしだいに視界もクリアになり、ティナ・マゼが、スロヴェニアにとっても初のゴールドメダルを手にして無事終了。マゼはゴールでおもいっきり「greeeaaat!」と叫んだのでした。
(旧ユーゴスラヴィアの時代には、日本の国際技術選にも登場したマテヤ・スヴェートが89ヴェイル世界選手権の回転でゴールドメダルを獲得しましたけどね)

2位に入ったイタリアのフェデリカ・ブリニォーネの母親は、70年代から80年代にかけてサーキットで4勝をあげたマリア・ローサ・クアリオです。現在はイタリアのスキー雑誌「Sciare」のライターとしてサーキットを回っている顔なじみ。ガルミッシュでもゴールエリアで、プレスセンターで、愛娘の応援に、取材にと小柄なからだでエネルギッシュに動き回っています。

3位にはフランスの21歳、テッサ・ウォーレイ。サーキットでは5勝を挙げていますが2度目の世界選手権で初のメダルを手に入れました。

2011/02/16

finish referee

チームイヴェント、日本からFIS本部役員として白馬の中村実彦さん登場です。かつてはジャパンチームで高速系の選手として活躍されていた実彦さんです。今日はフィニッシュ審判を務めていました。実彦さんと会うのは実に5年ぶり。白馬へは毎年行っているというのにね。前回はトリノ冬季五輪。サンシカリオでの女子滑降のレースでフィニッシュ審判を務めていたときに言葉を交わして以来です。つもる話がたんとたんとあったことでした。

チームイヴェントは各国5人のレーサーがパラレル大回転でトーナメント形式で戦っていきます。決勝はオーストリアとフランスの一騎打ち。当然コマが実力者ぞろいのオーストリアの勝利かと思ったら、意外やフランスの勝利。好調のシプリアン・リシャールの活躍が大きかったようです。

オーストリアのベンジャミン・ライヒは最初のレースでコースアウト。どうやら靱帯を損傷したということです。インスブルックの病院に搬送、即日手術したそうですから今季絶望でしょう。さらには別のスキー場でトレーニング中のディディエ・キューシュも左手骨折、が、プロテクターで保護して男子大回転に出場する模様です。バンクーバーの時は右手親指骨折していながら強行出場した。ファイトマンですね。

カーサ イタリア

イタリアスキー連盟は冬季オリンピックや世界選手権になると開催地に、選手、役員、それに招待客のみに入場を許されるイタリアンレストランを開きます。それがカーサイタリア。いつもイタリアの料理学校のスタッフ、生徒、食器、テーブルクロスまで現地に運びこんで凝った上質のイタリアンを提供するのです。およばれしてゆくとたいがい上席にはスキー連盟のお偉いさんがマフィアのドンよろしくどっかと座って葉巻の煙をくゆらせていたものでした。

初めて招待されたのが88カルガリー冬季オリンピックのとき。ダウンタウンの一画にこんなに広いところがあったのか、と思うくらいのみごとなイタリア空間だった。その時のメニューなんかもうすっかり忘れてしまったのだけれど、ただひとつ覚えているのは豚肉の煮込み料理。それはそれは美味な煮込みで一気に食したのですが、食後なにやら異な口ざわり。指でつまみ出してみるとちょっと固めの豚の毛が2、3本。きっとあまりの招待客の多さにシェフの目に届かなかったのでしょう。でもソースまで一滴残さずたいらげた記憶があります。

そして感心したのが、まだ少年や少女の面影を残す生徒たちが一所懸命テーブルサービスをしていたのですが、それこそ絶妙なタイミングで食器の上げ下げやワインをつぎたしてくれたこと。この子たちはきっと立派なプロになるんだろうなあ、とそのとき思ったことでした。

そうそう93年の盛岡・雫石世界選手権の時なんかはさすがに料理学校まるごと極東の地へ、というわけにもゆかなくて地元のきれいどころが総出でテーブルサービスをしてくれた。なぜかその時おねえさまにお化けの話なんぞして叱られたこともありました。

そのカーサイタリアも年々規模が縮小されてきて、ここガルミッシュではどうやら地元のイタリアンレストランにまるなげした様子です。この店は北イタリア、ヴァルテリーナ地方のメニューが売り。さすがにうまかった…と言いたいところだが、天敵ポルチーニ入りのリゾットが出てきたから星一つ半。

なんにせよまたむかしのようにドン・コルレオーネのファミリーにでもなった気分で、うまいワインを味わいたいものです。

2011/02/15

- intermission 2 -

予備日のためレースはなし。終日PCで写真整理。
夕食はカーサイタリアにおよばれです。
するとアルベルト・トンバとクリストフ・インナーホファー、新旧のイタリアンヒーローの登場。かけつけイッパイ、乾杯です。

アルベルト・トンバがひのき舞台に登場したのは1987年、クランモンタナの世界選手権。大回転で3位に入り、ボルサリーノを頭に、グリーンのマフラーと黒のロングコートをはおり、さっそうと表彰台に登場したのでした。以来ワールドカップサーキットで実に50勝、冬季五輪と世界選手権を合わせると9個のメダルコレクション。現代のスーパーレジェンドといえましょう。今をときめくインナーホファーもトンバの迫力にはタジタジです。
続いてはAIPS(国際スポーツプレス協会)のボス、ジァンニ・メロの司会でトークショウ。最後に「What are you doing now? Alberto」と突っこまれたトンバがなぜか今度はしどろもどろになり滝のような汗です。なぜなんでしょうね。

2011/02/14

St. Valentine's Day

さてもさても、朝プレスセンターに出社(?)したらデスクの上に思わぬハート型のヴァレンタインチョコレート。贈り主はほかでもない5人のMilka Ski Girl。マリア・リイシュ、ミヒャエラ・キルヒガッサー、ティナ・マゼ、シャルカ・ザーロプスカ、イングリッド・ジャクェモ、5人の ”ガール” たちです。嬉しくないといえばうそになりますが、ビミョーな気分です。だってメッセージの写真を見ると顔と名前がぜんぜん一致しないんだもん。目の前のデスクに陣どっている Sciareの編集長がすかさず一言「フォトショップ!」とニヤリ。














今日のレジェンドはおふたかた。なつかしやイレーネ・エップレとミヒャエラ・ゲルク。イレーネ・エップレ(左)は1978年に当地で開催された世界選手権、滑降で銀メダル、80レイクプラシッド冬季五輪では大回転で銀メダルを獲得しています。ミヒャエラ・ゲルクは89ヴェイル世界選手権スーパーGの銅メダリスト。サーキットでは4勝した高速系レーサーでした。そういえば、現在ジャパンチームのヘッドコーチを務めているクリスチァン・ライトナーと一時期結婚していたのですが別れてしまったということです。ゆえに現在はシングルです。

男子スーパーコンバインド、A-L・スヴィンダルが滑降のリードをキープして優勝、2位に入ったクリストフ・インナーホファーはこの大会、実に3つめのメダル獲得です。勢いというものはすごいですね。これで金、銀、銅、オールカラーメダリストです。3位は同じくイタリアチームのペーター・フィル。前回のヴァルディゼール世界選手権ではスーパーGで2位に飛び込んでいます。

2011/02/13

レジェンド・・・・・ん?

暖かい気候のせいでゆるんだコース整備のためレース開始直前まで全フォトグラファーはカンダハーコース立ち入り禁止を命ぜられました。よってコースの入り口には日独伊仏英の連中が集まってワイワイガヤガヤ。そこをすかさず田中慎一郎さんが撮ってくれました。インスペクションは撮影できないし、撮影ポイントはコースの上部ですから表彰式には間に合わない。お目よごしご容赦を。
Photo by Shin-ichiro Tanaka

女子ダウンヒルはいずれも当代の華がHEADスキーを手に表彰台を独占です。開会式で大会のテーマソングを歌いあげ、一躍ガルミッシュでも人気者となったエリザベート・ゲルグル、今大会2個目の金。サーキットで総合優勝を狙うリンゼイ・ヴォン2位。地元パルテンキルヒェン出身のマリア・リイシュが3位に入り面目をほどこしました。

2011/02/12

あな恐ろしや

男子ダウンヒル。まあまあの快晴。碧氷のカンダハーコースに恐れをなしてゴール死守ときめこんだらとんだ拾いもの。カンダハーのゴールエリアはおよそ2/3が中斜面、のこり1/3になってようやく平地になります。世界選手権のチャンプになるためにはゴールまで決してスピードを落としてはならない。…というわけでゴール後のクラッシュ続出であります。とりわけ5位に入ったアクセル・ルンド・スヴィンダルはポールはポッキリと折れ、足をひねったのか打ったのか不明だけれどかなり痛そうです。一時はタンカまで用意されたのだが係員の肩を借りて自力退場。残りのレースに影響がなければよいのですが…。
レースはクレイジイカナックのエリック・グェイがビッグレース初のメダルを掌中にした。ディディエ・キューシュ貫禄の2位。3位に入ったのがのぼり調子のクリストフ・インナーホファー、スーパーGの金に続いてこの大会2個目のメダルを手にしました。

本日登場のレジェンドはドイツの生んだ往年のアルペン女王、ロジ・ミッターマイヤー(左)。1976年インスブルック冬季五輪では滑降、回転、複合でゴールド、大回転でシルバーメダルを掌中にしました。たびたび来日して華麗なポールさばきを披露してくれたものでした。後にチームメイトのクリスチァン・ノイロイターと結婚して生まれたのが今ドイツチームの牽引役をつとめるスラローマー、フェリクス・ノイロイターです。ご当地、ガルミッシュ・パルテンキルヒェンの在。右はマルティナ・エルトゥル。コンビネーションが得意な選手で長野冬季五輪ではシルバーメダルを獲得しています。

2011/02/11

いずれアヤメかカキツバタ

こういうまなざしでみつめられたらいちころですね。ラーラ・グートはスーパーコンバインド、後半のスラローム、あと一歩のところで旗門にスキーをひっかけてクルリと2回もでんぐりがえりしちゃった。無念の do not finish です。
優勝したのはオーストリアの新星、アンナ・フェニンガー。ティナ・マゼ、アニャ・パションを従えて堂々のゴールドメダルです。うーん、この娘もなかなか、だなあ。

表彰式にはなんと皇帝ベッケンバウアーの登場です。サッカー界では超弩級の伝説の人ですね。おとなりは87クラン・モンタナ世界選手権ゴールドメダル、88カルガリー冬季五輪シルバーメダルを獲得したドイツのスラローマー、フランク・ヴェルンドル。

スーパーコンバインドの会場、滑降はガルミッシュ側のカンダハー、回転はパルテンキルヒェン側のグディベルクに分かれます。グディベルクは毎年ジャンプのワールドカップが開催されるシャンツェの真横にある一枚バーン。したがって選手、役員は滑降が終わると大急ぎでグディベルクに移動しなければならない。が、さすがにドイツ。幹線のほかに第1裏道、第2裏道、第3裏道までちゃんと用意してあって交通規制。なんのストレスもなく移動できるのです。

2011/02/10

intermission −幕間−

世界選手権3日目の今日はレースはなし。男女とも滑降トレーニングです。
ガルミッシュの街は風もなく、日なたは半袖でも汗ばむくらいです。
滞在中のアパートと、見慣れぬ住人を視察に来た猫。なかなか精悍な面構えです。

2011/02/09

スキー・レジェンズ

見事に晴れあがった男子スーパーG。が、碧氷のカンダハーコースに手こずり途中棄権者続出。優勝したのはイタリアスキーチーム高速系の中堅、クリストフ・インナーホファー。サーキットでは過去1勝。今シーズン、ラウバーホルンのスーパーコンバインド、滑降でトップだったのですが回転と併せた総合成績は4位だった。もちろんビッグレースのメダルは初めて。2位ハンネス・ライヒェルト、3位には絶好調、イヴィーツァ・コステリッチがはいった。

さて、世界選手権やオリンピックともなるとかつての名選手が続々と集まってきます。今日目にはいったスキーレジェンド…
カメラ目線のシブいイタリアンはインナーホファーの大先輩、クリスチァン・ゲディーナ。現役時代、ハーネンカムの滑降トレーニング、ダニエル・アルブレヒトが大クラッシュした件のジャンプで開脚ジャンプをしたツワモノです。
一方レース後のフラワーセレモニーでプレゼンテーターを相務めたのは盛岡雫石世界選手権コンバインドのゴールドメダリスト、ミリアム・フォクト、それに長野冬季五輪回転のゴールドメダリスト、ヒルデ・ゲルク。サーキットでは表彰台の常連でもありました。
あすから懐かしい顔、だれに会えるのだろう。

2011/02/08

GAP 2011

いよいよ世界選手権、始まりました。略して GAP 2011。
オーストリアとの国境近く、ドイツ、バイエルン州ガルミッシュ・パルテンキルヒェンでの開催。
17世紀来ヴァイオリンの工房で名をはせるミッテンヴァルトの隣村です。

初日の今日、8日は女子スーパー G。
女子のレースはバンクーバー以来ちょうど1年ぶり。なつかしいおしりたちと久しぶりの対面だった。が、天敵中の天敵、女子高速系のレースディレクター、ヤン・ティシュハウザーともやむを得ずにらみ合いです。バンクーバー冬季五輪の時なんぞコースの外から写真を撮らされた。どうです、まだレース前だというのにもうすでにレンズを睨んでるでしょ。さながら吉良上野介ですね。













レースは it was really tough, bumpy and icy!と誰もが悲鳴をあげるカンダハーコース。バンクーバー女子滑降の銅メダリスト、エリザベート・ゲルグルが優勝、ご当地出身、バンクーバーで回転とスーパーコンバインドで金メダルを獲得したマリア・リイシュが3位、トリノ冬季五輪大回転金メダリスト、ジュリア・マンカーソが2位、と実力者揃い踏み。
スイスのラーラ・グートは惜しくも4位。

ラーラ・グートを初めて目にしたのは2009年のヴァルディゼール世界選手権。17歳ながら DH とスーパーコンバインドで一躍2位に躍り出たとき。表彰台で文字どおり躍り上がって喜んでいた、その時の印象が強く心にのこったと。
うーん、今日のレースは惜しかったな。