2019/04/18

覚賢塔

いつの間にか桜の散る頃となって、気がつけば鎌倉まつり週間。
八幡宮への武者行列とか、舞殿での「静の舞」とかいろいろな行事があるのだが、不肖佐助庵、未だ見学したことがない。いうなれば鎌倉観光のプレゼンテーションだろう。

汗ばむほどに暖かくなってきた春の一日、街中の喧噪を避け、寂とした名刹、浄光明寺へ行ってきた。
というのも年に一度、この一週間にだけ解放される覚賢塔にお目もじしたかったからだ。
浄光明寺の裏山にある、いつもは閉じられている冷泉為相の墓の後ろの木戸をくぐり抜け、山桜の花が風に舞う尾根伝いの山道を登ったり下ったりしているうちに鬱蒼とした森の中に鎮座する覚賢塔に着いた。
3m超はあろうかという巨大な覚賢塔、正確には多宝寺跡の浄光明寺五輪塔といって、かつて浄光明寺のとなりにあった多宝寺というお寺の長老、覚賢和尚の墓塔だそう。だが多宝寺はもうすでになく、いまは浄光明寺が多宝寺跡地にあるこの五輪塔を供養している。

覚賢塔が鎌倉で一番大きい塔かと思ったらそうではなく、極楽寺にある忍性墓(塔)が一番大きな塔だそうだ。
忍性墓も年に一度、お釈迦様の生まれた日、四月八日にだけ公開されるのみ。3m50超は覚賢塔をわずかに凌ぐ。
多宝寺と極楽寺、二つのお寺とも鎌倉時代の高僧、忍性上人ゆかりのお寺。ほぼ同時期に造立された忍性墓と覚賢塔、二つの墓塔の姿かたちがそっくりなのは決して奇なことではない。

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