2019/04/05

桜、海棠、源平垂れ桃

このところ続いた冬の寒さですっかり風邪をひいてしまった。
しばらく寝込んでいたらだいぶよくなってきたが、まだ喉がガラガラする。
陽気も戻ってきたみたいだし、トレーニングがてらあちこち歩き回った。

しばらくみないうちにソメイヨシノがようやく満開になったみたい………なのだが今年のソメイヨシノ、爛漫の、というよりは楚々とした装い。
去年の秋に通り過ぎた台風24号の影響で鎌倉を襲った塩害のせいかどうかはわからないが、満開になる前からすでに葉桜模様。ことしの鎌倉の桜には「パッと咲き、パッと散る」ほどの勢いもない。

妙本寺の海棠。
小林秀雄の自著によれば、一人の女性をめぐって絶交状態にあった中原中也とこの樹の下で手打ちをした、という因縁の海棠だ。
桜の花にも増して濃い桃色の花が、何人もの男を翻弄するかのようにあでやかに咲き誇っていた。
長勝寺で四天王と一緒に、ちょっとさみしい満開の桜を眺め、安国論寺ではお御堂の畳の張り替えにせわしない職人さんの他には誰もいない境内で、紅白咲き分けの源平枝垂れ桃を堪能した。山門の横にはシャクナゲの花がひときわ燃えるように松葉ヶ谷の森を彩っていた。
 帰りがてら通りすがった段葛のソメイヨシノもどうやら満開になったようなのだが、春爛漫の勢いもなく、それでも大勢の善男善女が桜の木の下を続く参道を行き交っていた。