スプリング ハズ カム。
春がスキップしてやってきます。早く暖かくなって避難している方々が暮らしやすい気候になってほしいですね。
雪はふんだんにあるけれど、いろいろな事情ですでにクローズしてしまったスキー場も少なくありません。スキーをメインに撮影するフォトグラファーにとっては、けれども「ハイ、ソウデスカ」というわけにもいかない。天候が安定して、技術選を消化したスキーヤーたちのスケジュールに余裕がある今こそ絶好の撮影シーズンといえましょう。後ろめたさを一身に感じながらも雪上の撮影は続きます。
撮影したスキーヤーは、15日からは岡田利修選手、そして22日からは吉岡大輔選手。全日本スキー技術選手権で常にトップをうかがおうというライバル同士です。
ふたりを初めてフレームにおさめたのはまだアルペンスキーのWCサーキットを舞台に活躍していた頃。岡田利修は2006年のラウバーホルンとハーネンカムのスラロームで、吉岡大輔は2005年ボルミオの世界選手権と翌年のトリノ冬季五輪の大回転で、それぞれフレームにおさめることができたのでした。もちろんつきあいはあくまでもレンズを通してのみ。目が合えば目礼する程度だった。
巡りめぐってふたりとも現在は「技術選」を舞台に切磋琢磨するスキーヤーへと変貌を遂げました。周知のように今シーズンの技術選は東北関東大震災で犠牲に遭われた方々に弔意を表し準決勝で中止となり、その時点で総合成績も決定してしまった。
奇しくも利修と大輔は仲良く肩をならべて5位タイ。種目別では利修はフリー(総合滑降)で1位に、大輔は整地大回りでトップを奪取した。総合優勝も十分に視野に捉えた好位置だっただけに大会の中止はさぞ残念だったろうと思います。が、ふたりともそんなことはおくびにも出さず、ときならぬ大雪の降る悪雪のバーンで、白いじゅうたんを敷き詰めたような快晴のバーンで、日が暮れるまで見事なスキーテクニックを存分に披露してくれたのでした。さすが歴戦のスキー巧者です。おかげで撮影も順調に消化。フォトグラファー冥利につきる取材行だった。