2019/12/21

千両にあらず

紅葉にも食傷したな、そろそろ梅と桜だな、とふと思いついて久しぶりの荏柄天神社。
が、梅の花にはすこし早かった。一輪だけがポツンと咲いていた。

境内に「キ〜ザクラ〜……」という清酒会社のカッパのキャラを描いた漫画家の清水崑が建てた「かっぱ筆塚」というのがあった。そのそばに赤い実をつけた小さな木が植えてあって「十両」と書いた立て札があった。
ン? 十両ォ?……フ〜ン、ジュウリョウねー。不肖佐助庵、暮れになると街のあちこちで見かける縁起物の「千両」、「万両」というのは知っているが「十両」というのもあったのか、と。

荏柄天神社を出て、河津桜やいかに、とそばの鎌倉宮に行ってみたら鳥居の右側の木にだけ五輪ほどの花びらがパッと開いていた。つぼみもだいぶ色づいていたから年が明けたら満開になるんだろう。
そのまま報国寺へまわって冬桜を……と思ったのは間違いで、境内の手入れをしていた親方が「十月桜だよ」と教えてくれた。
十月桜の木のまわりには、あちこちに、これは「万両」の木が真紅の実をたわわに実らせていた。