2017/04/24

ぐーたらと、

若葉の季節。
ぶらぶらと、というよりはぐーたら歩き回りながら源氏山を越え、北鎌倉円覚寺。
日曜日のきのうは入り口に大行列ができてたというのに、きょうは人影もまばら。
ぐーたら、ぐーたらと境内を散策できた。

 境内のいちばん奥まったところ、いちばん高いところにある塔頭、黄梅院で今まで気にもとめなかったものを初めて目にした。野ざらしの、ぼろぼろになった木彫りの仏像。地蔵菩薩と千手観音の木像らしかった。
いわれはわからないが、何十年、何百年も風雪に耐えてきたのだろう、と思った。

黄梅院を出て参道をぶらぶら歩いていると、ユラユラ揺れながら空中を舞っているものがふと目にはいった。糸にぶら下がって遊んでいる小さな蜘蛛なのかと思ったが、どうやら小さな花の花心みたいなもの。いつまでも、いつまでも目の前を漂っていて、しばらくの間、怪訝そうに顔を向けて通り過ぎる人の目も気にしないでそれを眺めていた。
帰宅して調べてみたら、ソメイヨシノのしべ(蕊)。「桜蕊降る」という風雅な季語まであることがわかった。それにしてもなぜ落下せずに空中を漂っていたのだろう。

休息にそばにある佛日庵の茶席で抹茶をいただいた。実は……、境内全て禁煙のはずの円覚寺にして、佛日庵の片隅にだけひっそりと灰皿が置いてある。バチあたりではあるが、百円のお布施をしても寄るべき静かな場所だ。あ、お抹茶お一人様落雁付き五百円也。

いいかげん歩き疲れたから崖っぷちを登る化粧坂越えの帰宅は勘弁してほしいと、きょうは亀谷切通し(かめがやつきりとおし)越えで帰宅した。ここはなだらかな坂が続くだけの峠越えだから、ぐーたら歩きの〆にはちょうどよい。