2014/04/10

小野塚喜保さん

先日妙高赤倉で撮影した小野塚さん来鎌倉。
現役時代の思い出の逸品のスタジオ撮影。(あ、居間で撮影のことね)
スキーグラフィック編集長の守屋さんともどもの来訪です。

かつて小賀坂スキーチームのエリート集団、いわゆる「藤本厩舎」の中核メンバーとして一世を風靡した小野塚さんだから思い出の品々は山ほどある。
華麗なスキーシーンで表紙を飾ったスキーグラフィックをはじめとする数々のスキー誌、現役時代に身につけて大会に挑んだゼッケン(ビブ)、インタースキー代表として参加した当時のブレザーやスキーなどなど数え切れないくらいの、今となっては貴重な資料。
撮影するのも忘れてしばしバブルの時代のスキー界の思い出にふけったのでした。

それにしても別冊の撮影で毎年毎年ニセコにこもった日々を思い出す。
藤本厩舎のボス藤本進さんをはじめ、佐藤正人、渡部三郎、小野塚喜保、細野博、吉田幸一、石井俊一、出倉義克、関口淳、里吉敏章(すいません敬称略です)など、文字どおり当時のトップに君臨したデモたちが一堂に会して春のニセコの山々を縦横に駆けめぐったのだった。

一介のフォトグラファーがひとりで藤本さんを筆頭にトップデモの集団に対峙したのだから、こんなに緊張した撮影はなかった。どんなシーンを撮ったのかぜんぜん記憶に残ってない。
ただ一つ思い出すのは、どんな斜面であろうと藤本さんの鋭い号令一下、デモたちが寸分たがわず正確なスキー操作で滑ってくれたこと。どんな新雪だろうと、どんな悪雪だろうと、だ。急なコブ斜面だって瞬時に対応して軽快に滑ってくれたのだった。

あ、もうひとつ、ホテルのマネージャーが採って出してくれた、粉わさびをすり下ろしたひと皿。しょうゆをかけてアツアツのご飯といっしょに口に入れ、ツーンとした余韻に涙ぐみながら食べた朝食。ほかの食事はなにも記憶にないが、この時に味わった粉わさびだけは、二十数年たった今でも思い出す。