2018/01/31

赤い月

ブルームーンが赤く染まっている。

2018/01/24

ザ・ナイトレース − Schladming −(1/26追記)

平日の火曜日だというのに数万の観衆が押しよせるというシュラートミンク名物「ザ・ナイトレース」。暖冬のせいかどうかはわからないが、ことしはいくぶん観客が少なかったような気がする。それでもザルツブルクから、インスブルックから、バスを連ねてやって来た観衆の熱気が冷めることはありません。

レースは、またもやヒルシャーとクリストファシェンの一騎討ちの様相。だが2本ともラップを奪取したヒルシャーの「貫録」勝ち。……なのだがオヤジのフェルディナンドの前では怪物ヒルシャーもやはり人の子にもどるのかな。

ところがクリストファシェンの2本目に、観客のだれかが雪つぶてをぶつけたらしく、興奮したクリストファシェンがTVカメラに向かって、オーストリアスキーチームのコーチに、猛抗議したのだが、なんとなくそのまま。なぜならばここシュラートミンクはヒルシャーの生まれ故郷の近く。あきらめたクリストファシェン、今度は強烈なシャンパンシャワーでヒルシャーに意趣返し。とうとう最後は二人で鬼ごっこが始まっちゃった。ほんとにこの二人はいつ見ても仲の良い兄弟みたいだ。

オーストリアスキー連盟会長の顔もほころびっぱなしです。

1/26 追記
– The Associated Press
翌日になって、8日に就任したばかりのハインツ-クリスティアン・シュトラーヒェスポーツ相がヘンリク・クリストファシェンに謝罪した。
スポーツ相はこの事件を「オーストリアのイメージを傷つける深刻な不公平な行動だ」と声明を発表し、「クリストファシェンには、スポーツの公正性を気にするすべてのオーストリア人を代表して謝罪します」と述べた。

ヒルシャーに0秒39差で敗れたクリストファシェンではあったが「雪つぶてで一瞬気が散ったけれど、レースの結果には影響していない」とコメントしていた。

2018/01/22

エルンスト! − Kitzbühel −

だいたい大会期間中にずーっと雪が降り続いたら、大会が終わった翌日はカラリと晴れ上がる、というのがおおむねフォトグラファーにとっての世の習い。だが今シーズンのキッツビュールはそうではなかった。ハーネンカムが終わってもあいかわらず湿った雪が降り続いています。

朝、シュラートミンクへ向かおうとペンションヒンターゼアを出たとたん、ご隠居のエルンスト・ヒンターゼアとばったり会った。
なにを隠そうエルンストは1960年にアメリカの西海岸、スコウヴァレイで開催された冬季五輪で大回転で銅メダル、回転で金メダルを獲得した、伝説のレーサーなのであります。
周りには誰もいないし、恥ずかしながら生まれて初めてスマートフォンで自撮りしました。エルンストと。なのに二人とも視線があらぬ方向を向いている………!。

2018/01/21

雪降り積む − Hahnenkamm SL / Kitzbühel −

大雪のハーネンカム回転。
今季回転6戦5勝、常勝M・ヒルシャーにようやく土がついた。
H・クリストファシェン今季初勝利。
なにせ初戦を除く第2戦以降常にヒルシャーの後塵を拝すしかなかったのだから、クリストファシェンのストレスもそろそろマックス。乾坤の快走で、これでハーネンカム回転2度目の制覇となった。3位にはスイスの新人ダニエル・ユール。きのうの勝者ドレッセンと同い年の24歳です。

レース前に石井智也のチューニングサポートをしている伊東裕樹さんとハンス・ヒンターゼア。ハンスは日本で開催されたWCサーキット、苗場の回転と富良野の大回転で優勝しています。

もう一枚スナップショット。ヒルシャーの写真を撮っていたら近寄りすぎてゴーグルに佐助庵が写りこんでしまった。よってこの写真はボツ。

2018/01/20

伏兵 − Hahnenkamm DH / Kitzbühel −


なんと!ハーネンカムの華、滑降のトロフィを無名のニューカマーが掌中にしてしまった。しかもB・フォイツとH・ライヒェルト、二人の練達を両サイドに従えて、だ。

78回目のハーネンカム滑降を制したのはドイツのトーマス・ドレッセン。弱冠24歳の新鋭。表彰台に上がったのが今季ビーヴァークリーク滑降の3位が一度あるだけ。強調するわけではないが、まったくノーマークだった。

2018/01/19

スーパー大回転エピローグ − Hahnenkamm / Kitzbühel −

もろもろの変更が一度決定したらことは早い。
雪が降り続いてはいるけれど、1時カッキリにレース開始。2時間ほどで71人のレーサーが滑り降りた。

本番が終わってみれば、死んだふり作戦が功を奏したか、強豪たちが見事なくらいにピタリと定位置を席巻した。
氷と湿雪と乾雪が入り混じったコースは極めて難しい。熟練のスキーテクニックが必要だったということもまた事実といえましょう。
トップを奪取したのはノルウェイのA-L・スヴィンダル、以下K・ヤンスルード、オーストリアからM・マイヤー、H・ライヒェルトと続いた。

 ジャパンから出場した須貝龍は、突如コースを覆ったガスに視野を奪われ、コースを外れるも、52位。

レースが終わった頃になってようやく青空が顔をのぞかせた。
明日はハーネンカムの華、滑降です。

スーパー大回転プロローグ − Hahnenkamm / Kitzbühel −

今日から78回を数えるハーネンカムレース本番です。
まずはスーパー大回転。
今日も朝からなかなかの雪降りが続いているのですが、それでもオンコースに出るべく準備をしていたらOKからショートメッセージ。早朝からコースチェックをしていたジュリーの決定によるレースプログラムの変更だった。
内容は
天気予報とコース状態により、ハウスベルクカンテからフィニッシュまでのコースセクションは使用できない
●今日のSuper-Gスタートを滑降コーススタート直後の「マウスファーレ」に設定、フィニッシュラインをヨーロッパカップと同様ハウスベルクカンテ上部のOberhausbergに配置する
●11時半スタートを13時に順延
……とありました。
要するにきのうの滑降トレーニングとほぼ同じコースでスーパー大回転を実施するというものです。
長年ハーネンカムレースを撮影してきましたが、こんな事は初めてです。
昼過ぎには天候が回復してくれると良いのですが……。
昨夜はキッツビューエルスキークラブ主宰のメディアディナーにいってきた。
街の人気レストランを借り切ってのディナーパーティ、ペンタフォトやZOOMと同じテーブルについたのですが、久しぶりにおめもじ、マリアローザ・クワリオも同じテーブルだった。1980年代に活躍した名スラローマー。WCサーキットでも数度優勝を果たしているのだが、なによりも、先週バートクラインキルヒハイム女子スーパー大回転で優勝、滑降で2位に入ったフェデリカ・ブリニオーネのお母さんですね。

2018/01/18

滑降トレーニング − Kitzbühel −

前夜来の湿った雪が積もった「シュトライフ!」滑降コース。コース保護のため、スタートを下げて、ではなくてゴールをオーバーハウスベルクという地点まであげた短縮コースでのトレーニングとなった。もちろん本番では絶対にあり得ないセットアップといえましょう。

ラップを奪取したのは無名ながら10年目の大ベテラン、イタリアのマッテオ・マルサーリア。2位にも初めて耳にするフランスのブリース・ロジェ。先週のラウバーホルン滑降のチャンプ、ベアト・フォイツや、アクセルルンド・スヴィンダル、ドミニク・パリス、ハンネス・ライヒェルトといった強豪は軒並み10番前後から30番前後、とさながら全員足並みをそろえて「死んだふり」だった。
  いよいよ明日から78回目のハーネンカムレース本番、まずはスーパー大回転です。

2018/01/16

ペンションヒンターゼア − Kitzbühel −

いよいよ78回目のハーネンカムレース。

すっかりキッツビュールでの定宿となってしまったペンションヒンターゼアに入ると、いつにかわらずあたたかく迎えてくれるあるじのグイドとカースティン夫妻、それにもまして部屋に入ると、大きな写真フレームの中から御大のエルンスト・ヒンターゼアやトニー・ザイラーが微笑みかけてくる。
まことにもって我が家にいるようにくつろいでしまいます。
潤沢な積雪というわけではないが、滑降コース「シュトライフ!」のコース整備は万全。
初日の今日16日は第1回目の滑降トレーニング。下り坂の天候を考慮してスタートを1時間早めた。
トップを奪取したのはC・インナーホッファー。ちょうど1年前のハーネンカムスーパー大回転で2位に入った。
日本の須貝龍も出場したのだが、スタート直後にランをやめてしまった。体調不十分なのかもしれない。
メディアセンターに帰ると、プレスシェフのヴォルフガングが「明日のトレーニングランはキャンセルだよ」と教えてくれた。

ところでペンションヒンターゼアのすぐ横をハーネンカム滑降のスタート地点まで上るゴンドラが通っていて、そのゴンドラには歴代のハーネンカムレースの勝者の名がひとりひとり誇らしくペイントされています。
もちろんNo.1のゴンドラにはキッツビュールの誇る偉人、トニー・ザイラー。ヒンターゼア家もエルンストとハンス、父子二人の名前があります。
ことしの新顔は昨季ハーネンカム滑降を制したD・パリス。
毎年7月頃には新勝者を招いて、新たにペイントされたゴンドラをお披露目するのだが、78回を数えるハーネンカムから、どんな伝説が生まれるだろう。
毎シーズンのことながら胸がおどる。

2018/01/14

イタリア! − Bad Kleinkirchheim L-DH −

いまを盛りのゴッジアが勝ったのはわかる。きのう勝ったばかりブリニオーネが2位に入ったのもわかる。
でもね、まさかファンキーニまでが3位にとびこんでくるとは!
2013シュラートミンク世界選手権DHで銀メダルを獲得したナディア・ファンキーニ、サーキットでは2シーズンぶりのお立ち台登場。
イタリアはこの完全勝利を、ガンと闘病中のナディアの姉、エレーナに捧げた。
狂喜乱舞のイタリアチーム!
イタリアのフォトエージェンシー、ペンタフォトのマルコとジオまでが仕事を放り出してチームといっしょに写真におさまっちまった。
しょーもない!

一方ピョンチャンを虎視眈々と狙うUSスキーチームのリンゼイ・ヴォン、滑降のコースコンディションもままならない情況に警戒しすぎたのか27位という超平凡なタイム。過去何度も膝の故障と壮絶な闘いを繰り返してきたヴォンにしてみれば、ビッグイベント直前の当たり前のレース対策だったのかもしれない。

2018/01/13

いいなあ - L-SG Bad Kleinkirchheim -

Bad Kleinkirchheim(バートクラインキルヒハイム)はあたまに”Bad”とつくだけあって温泉保養地、観光地。
なので観光客はのんびりと露天風呂につかってWCレースの観戦です。

きょうの女子スーパー大回転を制したのは、母親のマリアローザ・クワリオ譲りの美貌を誇るフェデリカ・ブリニオーネ。スラローマーだった母親とはちがい、どちらかというと高速系に強いレーサー。2位にラーラ・グート、3位にはコーネリア・ヒュッター。今季絶好調、3人のビューティがお立ち台に上がった。

どんよりとした空模様ではあったけれども、フォトジェニックなバートクラインキルヒハイム女子スーパー大回転。

よかったなあ。

2018/01/12

滑降トレーニングキャンセル

天気はいいんだけどね………。
温かいせいで雪が柔らかくなって滑降コースのセットアップもままならない。
よって本日の滑降トレーニングはコース保護のため、滑降スタート地点からスーパー大回転のスタートまで、という前代未聞の苦肉策。
日曜日開催予定のスーパー大回転を土曜日に持って来て、レース後に改めて滑降トレーニングを一本、滑降は日曜日に開催、と。
あー、あしたも天気よさげだなあ……。

2018/01/11

バートクラインキルヒハイム

およそ30年ぶりくらいのバートクラインキルヒハイム。
あの当時は岩谷高峰も佐藤譲もまだサーキットを転戦していた。そうそう88シーズンに岡部哲也が回転で6位に入ったときに立ち会ったのがここバートクラインキルヒハイムだった。岡部はこのシーズン、ノルウェイのオップダールで2位に入ったのも未だ記憶に残る。

さて、先日のフラッハウ女子回転を終えて、一人のスラローマーが檜舞台から降りることを決意した。ジャパンのベテランスラローマー、清澤恵美子は一縷の望みをかけていたフラッハウのレースで平昌冬季五輪への切符を手にすることができず、潔く現役引退を表明したのだった。清澤にとって、ここ数シーズンはまさに怪我との闘い。よくぞここまで膝の痛みを我慢したものだと思う。「ファイティング キヨサワ!」といつまでも佐助庵の記憶に留めたい。

2018/01/09

フラッハウ 女子回転第8戦

昼頃から降りだした雨は夕方にはどしゃ降りになったのだが、レース開始の6時にはピタリとやんだ。
レースを制したのはやはりといおうかコロラド州ヴェイルのM・シフリン。他の追随を許さない快走ぶりでこれで回転8戦中7戦で優勝を果たしたことになる。当然WC総合タイトルでもトップを独走、すでに2連覇は掌中に?
2位には地元オーストリアのベルナデッテ・シルト。ミセスライヒとなったマリイズの妹です。だから、というわけではないがパーソナルスポンサーは現役時代のミスターライヒといっしょですね。3位にスウェーデンのF・ハンスドッター。
そういえばスウェーデン女子のユニフォーム、今シーズンからゴールドウィンからヘリーハンセンにチェンジしていますね。メインカラーもすっかり変わってしまった。表彰式の後のシャンパンファイトではいきなりプレスに襲ってきたハンスドッターにシャンパンの洗礼を受けてしまった。
やっちまった!と天を仰いで長嘆息するのはスロヴァキアのペトラ・ヴルホヴァ。一瞬のすきからバランスを崩してしまってコースアウト。今季好調で女子総合タイトルではシフリンを追う2位につけているだけにあまりにいたい失策。

フラッハウへ

8日に羽田を出発して、時差の関係でミュンヘンにはその日の夕方着。
そのままワールドカップの女子回転が開催されるフラッハウ入りした。今日9日からいよいよ佐助庵のシーズンインです。
といっても早々にナイトレースだから時差ボケはあまり関係なし。余裕を持ってプレスセンター入りした。

年明け早々のヨーロッパ、強風で大荒れだったらしい。
先週末に男子回転と大回転が開催されたスイスのアーデルボーデンでは1本しかない幹線が雪崩で不通となったが、関係者の必死の努力でなんとか復旧して無事2レースとも開催できた。今週末に伝統のラウバーホルンが開催されるウェンゲンでは麓のラウターブルンネンが台風並みの大嵐に襲われ、現在復旧作業中。被害はまだ明らかになっていない。
この谷は季節風の通り道で、かつては登山電車がひっくり返ったことがあった。滑って降りようにも強風でままならず、やむをえず反対側のグリンデルヴァルト経由で宿へ帰ったことがあった。もちろんラウバーホルンレースはキャンセルされたのだった。
で、きょうのフラッハウ、なんともさえない天気で、暖かくて朝方はときおり日が射していたのだが、いまは雨がぽつりぽつりと降ってきた。夕方にはやみそうで、日本時間の真夜中にスタートするレースはなんとか開催できそう。
ジャパンからは長谷川絵美、安藤麻、清澤恵美子の3選手が出場、ヘルマン・マイアーWCコースで平昌への切符を目指して戦いに挑む。

2018/01/04

山下公園

久しぶりに横浜山下公園。
参道沿いにゴミやペットボトル捨て放題、落花狼藉の限りを尽くす初詣客であふれる鎌倉を逃避、山下公園界隈をのんびり歩き回った。大さん橋にはちょうどまっ白な豪華客船の飛鳥IIが停泊中。でかいんですねえ。ざっと眺めてみても10階建てのビル以上のおおきさだった。

あれは1994年のリレハンメル冬季五輪のときだったか……。
ヨーロッパでWCを取材して、そのままリレハンメルに向かうとき、フェリーというか、豪華客船というかかなりでかい船に乗って、ドイツのキールからノルウェイのオスロまで一昼夜かけて行ったことがあった。きらびやかな船内はさながら巨大なショッピングモール。エレベーターももちろんあるし、たくさんのカフェバーやレストラン、それに広いカジノまであった。スゲえなあ、と思いながら船室に案内されたとたんにガックリきたことを思い出す。かなり安い料金の船室をリザーブしたせいで、そこはなんと船底の狭い船室。2メートル四方のサイコロ型の空間にベッドが置いてあるだけの部屋だった。海の風景を楽しもうにも窓なんかもちろんない。ま、一晩寝るだけだから、とガマンしたことがあった。

大さん橋からしばらく歩くと今度は真っ黒な船体の氷川丸。いまはもう引退して港に停泊して船の博物館みたいになっているらしい。

ところでこの界わいの歩道にはところどころ絵を焼き込んだタイルが埋められている。
赤い靴や帆船のタイルはなんとなく連想できるのだが、ゲタの絵はなんなんだろう。
……そう考えながらぼんやりと歩き回っていたら、いつの間にか昔覚えた童謡が脳内でリフレインのように繰り返されていた。
あの異人さんに連れられていった赤い靴を履いたおんなのこはいったいどうなったのだろう。